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2007年2月13日 (火)

二見町ぞめき歩き その弐 ~ 賓日館

伊勢屋主人です。
昨日に続き、二見町の旅館街を散策いたしております。

ここ二見の海辺に程近い場所に、「賓日館(ひんじつかん)」という建物があります。
平成11年(1999年)までは宿泊施設として営業をしておりましたが、現在は三重県指定の有形文化財として保存されています。
三重県に来て以来、多くの方々から「賓日館は、見る価値のある建物」である旨お聞きしていたのですが、今まで何となく機会がありませんでした。
しかしながら、ずぶの素人ながら建築を見るのが好きな主人ですので、いつかは行ってみたいなぁと思っておりましたが、今回二見に来て、この賓日館にも多くのおひなさまが展示されていると聞き、見学をすることにいたしました。
まあ、長年(というほどでもありませんが)の希望がやっとかなった、というわけであります(^_^)

ここで、賓日館について簡単にご説明いたしますね。
この賓日館は、明治二十年に、伊勢神宮に参拝される 主に皇族の方々を対象とした休憩・宿泊施設として、建設されました。
その着工は、明治十九年十二月、完成は翌二十年二月ですから、わずか3ヶ月弱で完成したことになります。その後2回の大がかりな増改築を経て、現在の姿になりました。
明治二十四年に、三重県初の政府登録国際観光ホテルとなった二見館に払い下げられ、以後平成十一年まで皇族や各界の要人が宿泊所として盛業を誇ったそうです。

賓日館のホームページには、「当時一流の建築家による品格のある洗練されたデザイン、選び抜かれた材料やそれに応える職人たちの技など、日本の伝統建築の粋を目の当たりにすることができます」とありますが、その実体やいかに! というところで、中に入ってみることといたしましょう。

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こちらが、正面玄関です。ちょっと逆光なので見難いのはご容赦ください。
実に堂々とした、たたずまいです。玄関は唐門風な造りになっています。
今は「おひなさまめぐり in 二見」が開催されていますので、正面にはおひなさまが飾られています。

実は、あまりにも見るところが多いので、多少はしょってのご紹介になります。申し訳ありません。

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こちらは、二階の「御殿の間」というお部屋。二間続きのお部屋ですが、こちらは主に皇族の方々がお泊りになった部屋だそうです。
ここの部屋に限ったことではないのですが、実に細部まで行き届いた繊細な細工が施されています。
例えば欄間の細やかな細工や、手の込んだ彫刻が施されているランプ類など、よくよく細部まで見れば、その完成度の高さには驚かされます。

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正面の床の間は創建当時からのものですが、なんと螺鈿(らでん)で飾り付けられた輪島塗で仕上げられています。なんとも、豪華ですねえ。
ちょっとこの画像からは見難いですが、天井も、天井板を嵌め込んだ上に更に格子天井を組み込むという、二重格天井というもので、その精緻な造りにはため息が出ます。

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この部屋の窓からは、松の枝越しに二見の海が見えます。かつてここで一夜を過ごした皇族の方々も、このような景色を楽しまれたのでしょう。
そして、皇族の方々が泊まる部屋、ということですから、やはりここからの眺めがいちばんよろしい、ということなのでしょうな。

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さらに驚きは、こちらの大広間です。なんと、その広さは120畳!
畳敷きの大広間にシャンデリアが下がるのはかなり珍しい光景ですが、それも天井が高いのでさほど気になりません。むしろ、派手過ぎないシャンデリアの煌きが、この広い空間の雰囲気を引き締めているように見えます。

しかし、当時はこの大広間をどのように使ったのでしょうね。この画像右手には、大きな舞台も用意されていて、まるで能舞台のようです。いや、実際に能などが演じられたに違いありません。
この大空間で、どのような人々の営みが繰り広げられたのでしょう。当時の光景を、できるものならタイムスリップして見てみたいものです。

さて、これ以外にも、この建物の中のあちこちに目を引かれるところが多数あります。
それらの中で、主人が気に入ったものをいくつかご紹介いたします。
まずは、これ。二階に上がる階段の手すりの柱に施された、二見蛙の彫刻です。

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手すりの柱に彫刻を乗せたものでは、ありません。柱材に直接 彫刻を施したこれは、板倉白竜という彫刻家の作品です。
こういう位置にありますので、つい触りたくなってしまうのでしょうね。この二見蛙は、ぴっかぴかのつるつるになっていました。

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こちらは、玄関上のランプです。
シェードに施された千鳥のレリーフ、ご覧いただけると思います。
このようなところにも、二見らしさを醸し出したいという、設計者と職人の気持ちが現れていますね。

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細かい細工と言えば、こちらの欄間。大広間の欄間ですが、鳳凰が描かれています。これも職人の方が一枚一枚、丁寧に仕上げたものなのでしょう。エッジが効いていながら、やさしい曲線は、大変見事です。

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そして、こちらは二階の大広間から「翁の間」と呼ばれる中広間へ渡る、渡り廊下の天井です。
すぱーんすぱーんとリズムよく組み上げた屋根の構造が、とてもきれいでしたよ。
このように構造材を見せながら、それをしっかりとした造形にしたてているあたり、この建物の設計者のセンスと造り上げた職人の腕の冴えを感じさせてくれます。

このように、館内のあちこちに見所が隠されている「賓日館」。私の拙い文章では、この建物の凄さは到底お伝えできるものではありませんので、ぜひ実際にご覧になることをお勧めします。
冒頭にご紹介しました、ホームページの言葉 「日本の伝統建築の粋を目の当たりにすることができます」 というのは、掛け値なしの本当でした。

二見町には夫婦岩しか見るべきものがない、と思っていらっしゃったら、それは大間違いですよ(笑)


【賓日館】
三重県伊勢市二見町茶屋566-2
でんわ:0596-43-2003
ホームページ:http://www.hinjitsukan.com/

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